6 わけの分からない感情の話

12/13
前へ
/153ページ
次へ
 忘れた頃にまたその話をしてくるとは…本当に恥ずかしいから、やめて欲しい。そんな思いを込めて不満げな顔をしてみたけど、真面目な顔をした賢者と目があって言葉を飲み込む。 「必死に死にまくってまでして、謝りたかった。許して欲しかった。けど、許して貰えてるのか…いまいち判断できない」 「…それは…」 「…本当に許してくれるの?」 「…別に、怒ってはいない…」  恥ずかしくて、目を逸らしながらもごもごとした発言だったけど、しっかりと賢者の耳には届いたらしい。戸惑ったような雰囲気に、はっきり言わないと伝わらないと腹を括ると、視線を合わせる。 「だから、許すも何もない。あれは事故だったし、お前が俺にしたのは治療だろ」 「嘘、あれ治療だと思ってたの…?」 「…え?」 「手助けなら抜くだけで良いでしょ。わざわざ抱いたりしない」 「え、そ、そうなの…?」 「きっかけは淫魔だったかもしれないけど、結果的に、お前を抱いたのは俺の意思。それでも…許す?」 「し、しつこいな!気にしてないつってんだから、もう良いだろ…!」     
/153ページ

最初のコメントを投稿しよう!

134人が本棚に入れています
本棚に追加