5 大変なことになった話*

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5 大変なことになった話*

   次は…5歳児か。終われば他人事なんだけど、こんな子供まで対応するのは結構キツイんだよなぁ。  タブレットの端を指で叩きながら、次の対象者の確認をする。  魔落ち女の一件以降、バイトの件数を少なめに振ってくれるようになったけど、先輩の帰る時間がどんどん遅くなってきてた。それが申し訳なくて、沢山入れてくれと自分から頼んだお陰で、毎日5~6件のバイトを入れてもらい、前と同じぐらいの件数まで戻ってはきている。  無理してない?ボクだったら大丈夫だからね?って心配する先輩だったけど、本気で無理してないから問題はない。それに、先輩が帰る時間だって、いつもより早くなってるし。  生きたまま魔落ちするなんてレア中のレア案件に当たったからって、そのせいでこのバイト辞めたいとは思わないし、辞めてもどうしようもないし…俺のメンタル、そこまで軟では無い事を認識してほしい。  次の現場へ向かおうとした所で、聞き覚えのある心配性の声がした。滅多に人とすれ違うことない待機室の廊下の端から、フードを揺らして駆け寄ってくる死神は、紛れもなく先輩だ。 「よかった!飛ぶ前だったね!」 「どうしたんですか、先輩」     
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