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そんなものを食べているから太るのだと、りかのファスナーがはちきれそうなスカートをちらりと横目で見る。
「だめみたい。そこはきっちり差別化しないと、しめしがつかないんじゃない?」
「でも支払いはすべて会社もちなんだよね? 結果として国からの補助金に繋がるから正確には国になるのかもしれないけど……ちょっと不公平な気もする」
かすかにりかが声を潜めた。
「不公平なんて。コツレサマは大変なことを成し遂げてるのよ? 命を産み育てるという崇高な仕事をしているんだから、あれぐらいは当然の権利だと思う。だからコツレサマになれない人が不満とか僻みとかを言うのって違うんじゃない?」
辛辣とも言える口調になった香澄を、バーガーを頬張りながら横目で見て、りかはまたカフェに目を転じた。
「そうかもね。まああたしの場合、あんな小洒落た店に似合わないし、至れり尽くせりされたらくすぐったくてしょうがないだろうけど」
「そんなこと」
「宮脇さんはコツレサマ希望なんだよね?」
りかに他意があるわけでもないのに、香澄は自分が責められたような感じがして、視線を落とした。
「もうあまり後がなくて、やんなっちゃう」
軽く笑い飛ばそうとして声が掠れたことにりかが気づかないことを願いながら、慌てて言葉を継いだ。
「市村さんもでしょ?」
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