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「ありがとうございました。あっ」
深々と礼をした女性は、足元に置いていた水のたっぷり入った蓋を誤って蹴倒しまう。蓋の中の水がEくんの足にかかって、靴の先端から指さきまで濡らしてしまったらしい。
「申し訳ございませんでした!」
平謝りした女性が一枚の紙を取り出した。宗教の施設の案内だった。
「何かありましたらここにご連絡ください」
そう言って、もう一度頭を下げて女性が去っていった。靴が少し濡れた程度なので、Eくんもしつこく文句を言う気はなかったが、変な人にあたってしまったものだと辟易したという。
その日一日、Eくんはもやもやした気持ちで過ごした。
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