身代わりの代償・・異母妹テイの犠牲

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「・・・いずれにしろ この呪いの入れ墨のせいで  数年内に私は死ぬのよ・・アーシュ兄様・・」 「魔法使いが死ぬ寸前にアーシュ兄様にそう言った・・」 微笑むテインタル テインタルは呪文を叫ぶように唱える 「私は火竜王(サラマンデイア) 先の黒の王・竜の王の娘! すべての精霊よ!   我 この身を もう一人の火竜王と入れ代えろ!」 ザックッザック!にぶい音を立てて  無数の水晶が一瞬にしてテインタルの身体を貫く! 「はうっ!!」 代わりにアーシュの身体を貫いていた パキン パキンと音を立てて  水晶が砕け散る 「テイ!」よろめきながらアーシュはテインタルのもとに行く・・ 「キスして・・最後の願いよ・・そして とどめを・・ 私の場合は あと2年かかる・・わかるの・・」口から血が滴る・・ 今は金色の瞳のテインタル・・ はあ・・と息を吐くテインタル 「・・アーシュ兄様・・この水晶に貫かれたこの痛みに  8年も よく耐えられたわね・・ 私なら耐え切れずに舌を咬み切っていたと思う・・可哀そうに・・」 テインタル 「・・俺も耐え切れずに 何度か舌を咬み切りそうになった・・」 アーシュ テインタルの頬を優しく撫ぜる・・ 「すまない・・テイ・・許してくれ・・」そっと唇を重ねる そして・・アーシュは 痛みを感じなくさせる麻痺の呪文を唱えた・・ 「・・優しいのね アーシュ兄様・・」微笑むテインタル 「・・本当にすまない・・」アーシュ 「私の愛しい もう一人の火竜王(サラマンデイア)・・」テインタル 「・・・いいの さよなら・・アーシュ兄様 愛してる・・」 「時の向こう側でエイルと一緒に待ってるわ・・」 焔色の瞳で微笑む テインタル 短い呪文を唱え アーシュの左手に光の玉が出現する   それは光る小さなナイフになる  それをテインタルの首筋にあて 一気に斬る・・ 血が噴き出す 「ぐっ・・」そのまま事切れるテイ・・テインタル 「・・・・」沈黙して 目を閉じるアーシュ 遠くから声が響き聞こえてくる アーシュはそのまま 気を失い倒れた・・
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