ひよりの言葉、遼太の言葉

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「いやいや、平田先生は優しいからなぁ。まあ確かに宮部にここで泣かれたら大変だしな。よし、今回は補習授業倍増という事で……」  その後の先生の話なんて、耳に入って来なかった。全部、すり抜け。補習倍増、後で予定表渡されてビックリするのだけど。  助けてくれた、のかな、遼ちゃん。でも、目、合わせてもくれなかった。ホントに、嫌われちゃったのかも。  胸、痛い……。苦しいよ……。  惨憺たる結果のテストの成績表も返ってきて、もう踏んだり蹴ったり。いやだ、もう。泣きそうです。ママの困ったお顔とパパの怒ったお顔が浮かんでホントに涙が。 「ひーよりっ」  放課後の教室で、すっかりうなだれていたあたしに茉奈ちゃんが話しかけてきた。 「イルミネーション点灯式もうすぐだよー。ひよりはどうする?」  イルミネーション点灯式――。  うちの高校はキリスト教とかじゃないけれど、冬休み前に、2年生が中心となってこれから受験就活と戦う3年生への激励の意味を込めてクリスマスパーティーみたいな行事をする。
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