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好きなの。
好きで好きで、どうしようもないくらい好きなの。だから、遼ちゃんに触れたくて、触れて欲しくて――、知らなければよかったんだ。気付かなければよかったんだ。
遼ちゃんが好きだって。
あのあと、先輩は何度も何度も謝ってくれた。
『ひよりちゃんを泣かすつもりはなかったんだ、ごめんね』って。
ううん、ごめんなさい、先輩。先輩の言うことは、正しいと思うの。
あたしの目線に合わせて屈んだ先輩は。
『ひよりちゃん、俺のこと、好きになって?』
あたしの手、掴んで言った。
先輩のこと、好きになってたら、よかったです。でも、やっぱり、どんな瞬間も、考えちゃうのは、遼ちゃんなんです。あたしの頭の中に浮かんじゃうのは、遼ちゃんなんです。
なんで、遼ちゃんじゃないんだろう、って思っちゃうの。
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