ひよりの言葉、遼太の言葉

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 ごめんなさい、先輩――。  あたしは、手を掴まれたまま、俯いて泣くことしか、できなかった。 *  気づけば、ぼんやりとしたまま期末も終わって、後は冬休み……。 「宮部、あのな。お前は確かにそんなにデキル方じゃない。でもな、赤点スレスレでも、いつもなんとかなってただろ。それが、今回は全教科『なんじゃコリャ!』な成績なわけよ」  ここは職員室。あたし、担任の先生に呼び出されて、お説教されてる真っ最中です。  先生、声が大きいです。周りの先生達がクスクス笑いながら見てるよー。  あたしは、真っ赤になって俯いて、先生のお説教が終わるのを待ってた。 「先生先生」  大好きな声がして、あれ? って、少しだけ顔を上げると、遼ちゃん! 「もう少しボリューム下げてあげないと、その子可哀想です」  先生に小声で耳打ちすると「生意気言ってすみません」と笑いながら頭を下げて行っちゃった。あたしの方は、チラリとも見なかった。
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