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通勤ラッシュの荒波に飲まれて俺は会社へとたどり着いた。まず会社に着いたら朝礼に出ていつも通りの係長の長い口上を聞き、仕事の準備をする。そして仕事が始まる、いつもと変わらない日常が始まる。
変わり映えのしない日常が、始まる。
俺が勤めている会社はいわゆるブラック企業だった。サービス残業は当たり前、上司はパワハラをし、社内では当たり前のようにセクハラも起きている。
自分に縁のないことが起きているなんて信じられなかった。嫌だった、そんな現実が嫌でしょうがなかった。ただそう思っていたのは最初だけ。
こんな日常にいると何が正しい事なのかがわからなくなってくる、そして自分の事がわからなくなる。何がしたいのかわからなくなる、自分に価値が無いように感じる、そんな感覚に飲み込まれていき脳が麻痺していく。
趣味も無い友達もいない、そんな自分が最初は嫌だったが今ではもう何も思わなくなった。どうせこの世界の小さな小さな、代わりなんていくらでもある歯車なのだから。歯車はその身体を日に日にすり減らしてゆく。
いつか消えると分かっていても止まることは無い。そうして今日も歯車は何も考えずに回り続ける…。
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