ンジョモ・モゲゲラ

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くの仲間達により長く自分の風を送ることのできる力を顕示する。 彼らにとって首を長くすることは最大の名誉と地位が約束されるのだ このため いかに長く、この灼熱の暑気を耐え抜くことが、勇敢で事故犠牲をも厭わないアフリカの男達によって競われ、そして散っていった。 18世紀 ヨーロッパ人侵略の際も彼らは扇風機を守り闘った 多くの犠牲の中で アフリカの羽根は守られたのである そして現代、ガンヒヤ大統領によるエア・コンクェスト(空気征服)政策 国家単位の都市化先進化をはかったクーラー普及政策により 多数の血が流された 内戦は今も続いている 問題は政治的にとどまらない 大量の室外機の排熱により温暖化はさらに加速したのだ 事態を重く見た国連は 1平方メートルあたりの室外機制限勧告をギニアに要請 ところがこの勧告をガンヒヤ大統領は拒絶 国連の要請を受け アメリカを中心とする多国籍軍が、室外機関連施設の強制撤去を開始し 騒乱は今も続いている 大地は荒れ、砂漠化が進んだが、それでもなお 扇風機は涼をとり、家計をまかなう 大切な作物に違いないのだと彼らは言う モパパ村の青年 ンジョモ・モゲゲラはこう語る 「俺たちがなぜ今も扇風機にこだわり続けるかって? そんなの決まっている 村じゅうを いや世界中を俺のファンでいっぱいにしたいのさ」 彼は笑って タイマーツマミをやさしく捻った アフリカ原産の扇風機 アフリカンファンは今日も旋回し 人々の声色を変えるのであろう
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