ンジョモ・モゲゲラ

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赤道ギニア南部 一面に広がる広大な扇風機畑で今日も扇風機の収穫が始まる 日本の夏とは比べものにならない程の激しい熱波 それがまた比類にならないくらい長きに渡るこのアフリカの大地で、扇風機は古くから彼らの命を繋ぐ手段であり、生活の糧であった この国の子供たちは皆生まれてすぐ、収穫間もない扇風機に当てられ、その自然の風につつまれる そして物心つく頃にはより良い羽根を見極める目利きもできるよう徹底した躾(しつけ)が行われるのだ なぜならこの頃経験した風こそが、彼らアフリカ人の今後の人生を大きく運命付けられるものであるのだ、とモパパ村の長老は語る 15歳になると彼らは自身の扇風機の首を振ることを許される この大地で、扇風機の首を振ることは大人の仲間入りを意味するのだ 首を振ることで、自分以外の仲間にその涼しさを分け与えることができる これは友愛の意志を示し そして自らの扇風機がよそを向いている間 その灼熱の神に我が身をゆだねるという、犠牲と勇気の証をあらわす と部族長は声高に語る さらに村で一番長く首を振らせることのできた若者にはさらに、首を長くすることが認められる この長さはより遠く、より多
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