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じゃあ、なんでずっと彼女いないの？
聞きたいけど、聞いたらいけない気がして口が開かない。
わたしの表情を見て察したのか、あきくんが柿の種を口に運びながら言う。
「おれ、女の人と"付き合う"っていうのが苦手なんだ」
前も同じようなことを聞いた気がする。彼の過去に何があったのかすごく気になるけど多分それはまだ教えてもらえない。
あきくんとは、まだそこまで砕けた関係になりきれていない。
「あゆさんは男の人が苦手なの？」
苦手……ではないと思う。苦手だったらセフレなんで作れない。
「男の人は苦手ではないけど、恋愛は苦手かも」
あきくんとわたしはきっと少し似ている。お互い過去は知らないけど、なんとなくそう思う。
ライトアップされた桜が目に入る。とても綺麗で思わず見入ってしまう。
花びらがヒラヒラと舞う。春は別れと出会いの季節っていうけど、本当にその通りだなって思う。
不思議な1ヵ月になりそうだ。
でも、きっと悪いようにはならないはず──。
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