2 トライアングル

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「え?」 一歩入って目に入った人物に驚いた。私が知らない人だったからだ。 大輔の友達なんて全員知ってると思っていた。 階段を上りながら、どうせあいつらの中の誰かだろうと同級生の顔を思い浮かべていたのに。 「だれ?」 いきなり部屋に入ってきた制服姿の女子に誰何されて、目を見開いているその子に大輔が謝った。 「ごめんな、麻生。これ近所の女で香織。見た通り同じ高校だから」 「えっ同じ高校?」 「そ。うちの向かいに引っ越して来た麻生直樹くん。同じ高校に入学するって聞いて友達になった」 大輔の家の向かいにあったボロいアパートを取り壊して、最近何軒か新築の家が建っていた。そこの一軒に引っ越して来たらしい。 「麻生直樹です」 立ち上がると、中学の時クラスで一番背が高かった大輔よりも大きくてびっくりした。 それにすごく整った顔をしている。 「見とれてる場合か、ばか」 大輔に言われて慌てて挨拶をした。 「あ、篠崎香織です」 「で、なんで制服着てるの?」 初対面の男の子に不思議そうに聞かれて 「あ、さっき出来上がって。着てみたら誰かに見せたくなって…あ」 正直に言ってしまってから、すごい自意識過剰発言だったかも、と気が付いて焦る。 「はいはい、可愛い可愛い」 おざなりに大輔に言われてむっとした。
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