2 トライアングル

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高校入学の少し前、幼馴染の大輔の部屋でぎこちない挨拶をした私たち三人は、見事に同じクラスになり、それから三年間の高校生活を共に過ごした。 ガキ大将タイプの大輔とは対照的で、いつも優しくて人の気持ちを優先する直樹は、一緒にいて居心地の良い友達だった。 二人とも目を引く容姿で、黒髪で黒目が大きく、男らしい野性味のあるタイプの大輔と、背は高いけれど全体的に線が細く、頭が小さくて手足が長い、日本人離れした体型の直樹はバランスの良いコンビだった。 二人とも運動神経が良くて、女子からの人気は絶大。 そんな二人といつも一緒にいる私は羨望の的だった。 「どっちが彼氏なの?」と聞かれるたびに否定して、からかわれて、それでも一緒にいる私たち。 口には出さなかったけれど、恋人を作るよりも三人でいるこの時間が楽しすぎて、誰もこのトライアングルから出ようとしなかった。
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