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そして高校の卒業式を迎えたその日。
私たちのバランスが崩れた。
三人での帰り道、いつもの公園へ立ち寄った。
大きな公園で、夏場に子供が遊べるくらいの小さな池があった。
その池の前のベンチが私達のいつもの場所。
二人の制服のボタンが全部なくなっていたことをからかって
「誰にあげたの?」と聞くと「欲しいって言って来た人」という答えが。
「でも一番大事なものはあげてないよ」と直樹が言うと、「俺も」と大輔が言う。
二人は立ち上がると手にボタンを一つずつ握って、私の前に差し出した。
もしかして、それは第二ボタン…ってやつでしょうか。
「なにこれ。ねるとん?」
とテレビの人気番組を真似しているのかとからかうと、真剣な顔で
「受け取って」
と言う。
「うん!」
と両手を出して両方もらおうとすると
「どっちか片方だけだ」
と大輔が言った。
ぽかんとする私に直樹が口を開いた。
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