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「私、私は…」
終わってしまった。
私たちが三人で過ごした高校時代が、今ここで終わってしまったんだ。
告白された嬉しさよりも、失ってしまった時間を想って少し悲しくなった。
震える手で私は一つのボタンを受け取った。
大分前から自分の気持ちには気が付いていた。
自分から言う勇気は無かったから、友達のまま卒業するつもりだった。
その大きな手に私が手をのせると、直樹は一瞬顔を輝かせたあと、ぱっと横にいる親友を見た。
大輔は伸ばした手をひっこめると、ギュっと握った紺色のボタンを公園の池に向かって投げた。
「気にすんな。香織、直樹、幸せになれ。じゃあな」
そう言って笑うと、背中を向けた。
この瞬間トライアングルは消えてしまって、私と直樹は二人になった。
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