2 トライアングル

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「私、私は…」 終わってしまった。 私たちが三人で過ごした高校時代が、今ここで終わってしまったんだ。 告白された嬉しさよりも、失ってしまった時間を想って少し悲しくなった。 震える手で私は一つのボタンを受け取った。 大分前から自分の気持ちには気が付いていた。 自分から言う勇気は無かったから、友達のまま卒業するつもりだった。 その大きな手に私が手をのせると、直樹は一瞬顔を輝かせたあと、ぱっと横にいる親友を見た。 大輔は伸ばした手をひっこめると、ギュっと握った紺色のボタンを公園の池に向かって投げた。 「気にすんな。香織、直樹、幸せになれ。じゃあな」 そう言って笑うと、背中を向けた。 この瞬間トライアングルは消えてしまって、私と直樹は二人になった。
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