3 スウィートディズ

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高校を卒業した四年後、私は都内の女子大を、直樹も大学を卒業。 直樹は大手商社に就職し、私も証券会社に就職した。 バブルが弾けて数年が経ち、就職氷河期と言われた時期だった。 多くの学生たちが苦労している中で、私たちは励まし合いながら就職活動に邁進した。 そして無事に就職を決めた私たちはとても幸運だったと思う。 結婚してからも直樹は何一つ変わらなかった。 結婚記念日や誕生日、クリスマスに欠かさずにプレゼントをくれたし、週末にはドライブデートや外食、年に一度は旅行に行くなど二人の時間を当たり前のように大切にしてくれた。 結婚後一年は仕事を続けて、退職してから赤ちゃんを作るというのが私の理想だったので、予定通り私は結婚式の一年後に仕事を辞めて、専業主婦になった。 そして希望通りすぐに妊娠することができた。 直樹の喜びぶりはすさまじく、日に日に大きくなるお腹を愛しげに撫でながらいろんな話をした。 「男の子か女の子、どっちがいい?」 「どっちでもいいよ」 「名前はどうする?」 「香織が好きな名前を付けよう」 「本当にいいの?」 「いいよ。痛いのだけは代わってあげられないから。香織が呼びたい名前をつけようよ」 そして無事に女の子を出産した。 3千グラムに少し足りない小振りな赤ちゃんだけれど、とても元気な子だった。 母子同室の産院だったので、病室に次々とお見舞いに来る人に抱っこしてもらって、来てくれた人がみんな幸せそうに笑って帰るのも嬉しかった。
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