3 スウィートディズ

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仕事で遅くなっても必ず病院へ顔を出してくれる直樹は、その日ベビーベッドで娘が寝ている顔を見ると抱かずに真っ直ぐ私のベッドへ来た。 そして座っている私を正面からぎゅうっと抱きしめた。 「直樹?」 「みんな赤ちゃんばっかり抱いていくだろう?だから俺はこっち」 「…もう。当たり前でしょ」 「香織…俺の子を産んでくれてありがとう」 「…直樹」 「嬉しいんだ。香織と子供がもてたこと。これからもっと家族を大事にするよ」 「直樹はいつだって大事にしてくれてるよ」 「まだだよ。まだまだだ。もっと良い夫になって、良い父親になるから」 退院して子育てが始まると、直樹は家にいる時間は全て家事と育児に当ててくれて、私以上に上手にこなしていた。 二年後に再び妊娠が分かった時 「次は男の子がいい?」 と聞いてみた。 「俺はどっちでもいいよ。香織はどっちがいい?」 「そうだなぁ。男の子も育ててみたいね。直樹にそっくりな男の子」 「俺は香織に似ている方がいいけど。じゃあ次は男の子だな」 そして生まれた子は本当に男の子だった。 次の年、賃貸のマンションが手狭になって来たのと、上の娘の入園時期ということもあって、分譲マンションを購入することになった。 通勤、通学、治安面。スーパーや病院も近くて…と条件を満たす物件を見て歩いた。 二人の幼児を抱えながらの内覧は大変だったけれど、楽しい時間でもあった。
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