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観覧車はあの日よりもずいぶんグレードアップしたようだった。
イルミネーションは全てLEDになり、次々に色が変わる光のグラデーションで様々な模様を見せてくれる。
少し並んで自分たちの番を待つ。
ゆっくりと扉を開けて近づいて来たゴンドラに乗ると、直樹は私の隣に座った。
25年前と比べると圧倒的に変わった夜景に、感嘆の声が上がる。
「25年。本当にあっという間だった」
「子供たちも大きくなったし、これからは二人の時間だね」
「香織…幸せ?」
「幸せだよ。直樹と結婚して良かった。ううん、結婚しなかった人生なんて、もう考えられないよ」
「そう。俺は香織を幸せにできたんだね」
「直樹、私は?私は直樹を幸せにできてる?」
「もちろん。香織が俺の傍にいてくれれば俺は幸せだよ」
「ふふ、私たちもう50歳なのに、言う事全然変わってないね」
「うん。だって俺の中で香織は全く変わってないから。今でもあの頃のままだよ」
そう言いながら、直樹は私の手を握った。
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