2人が本棚に入れています
本棚に追加
不動産や行政、サービス業の窓口など、こういった事は自身の経験も含め、日常茶飯事だろう。
なんとなく空気が重くなり、黙り込む二人の見積もり調査は淡々と進み、後はトイレとシャワーがセットになっている浴室の確認だけとなった。
浴槽内を変色させる程の風呂垢に顔をしかめた業者がトイレの便座の蓋を開け、露骨に嫌な顔をした。
「何だ、こりゃあ??紙が詰まってんのか?」
横から覗き込んだ友人も同じ表情になった。便器の中には書類のように文字がビッシリと打ち込まれた紙が大挙して詰め込まれている。ちぎったモノ、丸めたモノ。そのままのモノ。全部の確認は出来ないが、
全てが同じ内容の書類のようだった。
「光熱費とかの催促状か?全く、処分するなら、全部片づけてくれよ。」
業者が不平を呟きながら、続けて貯水タンクの蓋を持ち上げる。水は止まっているが、
中身の重しなど、損傷がないかを調べるためだ。
「うわっ、こっちもだ。見てみろよ。」
タンクの中にも同じ紙が入っていた。重しや底が見えないほどに詰め込まれている。友人は
一番手前のモノ、比較的無事な書類を手に取り、中身を確認したと言う。
以下は、友人がスマホで撮影したモノを原文のままで記したモノだ。
友人は書類を持ち帰らず、そのまま処分した。家族に確認はとらなかったと言う。
恐らくこれらを残したのは、賃主家族という事は間違いなく、その理由もわかるからだと彼は言った。私も同様の気持ちである。これを只のイタズラか、それとも………かは
読者の判断に任せたいと思う。
通知書
○○○ ○○ 様
【復讐気配 施行決定のお知らせ】
日頃よりお世話になっております。平成○○年○月○日より、復讐気配が○○様に
施行される事をご通知します。
最初のコメントを投稿しよう!