第1章

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 0  今では、老若男女インターネットを使用するが、昔はそうではなかった。まるでスラムの汚臭を感じさせるような雰囲気で、アンダーグラウンドとよく言われていた。  怖い話とテクノロジーは共存するのだろうか。しないのだろうか。  某妖怪アニメで妖怪がユーチューバーになった話があったが、あれはあれで風刺的な話でおもしろいが、正直あれはもうファンタジーでもオカルトでもなく、SFだなと感じさせる。  怖い話とテクノロジーは共存しない。個人的にはそう思う。  カセットテープや、VHSなどのビデオテープ。  昔は呪いの歌が収録されてるとテレビで話題になったり、ビデオだと有名なのはやはり貞子だろうか。ここまでなら、まだ怖い話というか恐怖を連想させてしまうもの――ナニかは、テクノロジーと共存していた。  しかし、CDからはどうだろう。  CDやMDでもいい、今だと形すらとらずMP3というデータで音声が売り買いされ、動画もいくつかのファイルデータで公開されたりする。そんなものに、怖い話など存在するだろうか。  そうなると、怖い話というのはやはり過去にさかのぼるしかないのか。  だが、人の恐怖というのはそういうものではあるまい。  怖い噂。  噂。  人の口に戸は立てられぬ。噂というものは言葉、声、が川のように流れることで、氾濫のようなもので、いくら時代がツイッターやフェイスブックに支配されても、身勝手な偏見やろくに調査もされてないものを事実と信じる愚劣さは、消えることはないのではないか。今でもヘイトがあちことに撒かれてるじゃないか。  前置きが長くなったが筆者はそう考え、どうにかしてネットから怖い話を調べようとした。  といってもネットでオリジナルの怖い話をさらす者はいても、ネットを舞台にした怖い話はあまり見かけない。  九十年代とゼロ年代。  当時は妙な雰囲気があった。  某カルト宗教のテロ事件やら何やらがあったが、それだけじゃなく、世間が全体的によどんでいた。  なんといえばいいのか。あれだ、昔ザリガニの飼育をしていたことがあるが、水の入れ替えをさぼるとあっという間に水がにごり、緑色に変わり、ザリガニが死に、腐ってしまう。あれだ。あの雰囲気だ。あのときの水槽のにおいは思い出すだけで、うっ、となるが、世間があんな感じだった。  腐っていたのだ。  当時の日本は。
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