第1章

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 僕も一回だけやったことがある。まだ性の知識もろくにない児童だったので異性の出会いなど考えず、ただ仲良くしゃべる友人がほしかった。そんなことせずに、学校の友人と話せばいいじゃん、と今の子は思うかもしれないが当時は大した通信機器も存在しない。ケータイはあるにはあるが、まだ通信料は高く、ラインもツイッターもない昔は、パソコンを持ってる子は自然とチャットルームに引き寄せられた。僕はすぐにやめた。そのとき初めて会った人が執拗に住所を聞こうとしたので、幼いながらも警戒して二度とチャットに入ることはなかった。  話がそれた。  話をもどす。。 「今だとステレオタイプで扱われるかもしれんが。ほら、いたじゃん。あの時代にはさ。痛い系というか、オカルト趣味が入ったやつ」 「あぁ、包帯巻くとか? そういや、B組でいたよな。自傷癖のある奴、ニコニコとリストカットの披露して場が静まったの覚えてる」 「やめろ、嫌なこと思い出させんなよ。いや、それとは違うというかさ。おれが言うそいつは、死ぬ死ぬ、これからすぐに死ぬって言う奴でさ」 「おい、それまんまじゃんか。自傷癖のある奴と違いは」 「違うんだ。話はそこで終わりじゃなくてだな。そいつ……あぁ、笑うなよ? 途中から自分はもう死んでいるって言ったんだよ」  笑うなよ、と言われたものの。  友人の言い方が、まるで北斗の拳のようだったので、思わずプッとふいてしまった。 「違う、ほんとなんだって。いや、最初はさ。みんな馬鹿にしてたんだよ。そんなに死にたいのならさっさと死ねってさ。いや、あのときは俺もくそガキだったからな。つい、混ざっちゃってさ。今にしてみたら、ひどいんだけどさ。でもそれなのにそいつ毎日同じ時間にログインするんだ。同じ学生だったのか、五時ぐらいにはいつも同じチャットルームにな。段々とみんな気味悪がってその部屋にうろつかなくなったんだが、そしたら、そいつ他のチャットルームに押し入ってさ。みんな我慢できなくなって、管理人にメールしてお前を追い出すって言ったんだよ。そしたら、ぼくはしにました、って書いてさ」 「いや、チャットしてんだな。死んでるって言ってんのに」 「そう、俺らも即座にツッコんだよ。でもさ、そいつ。画像を載せたアドレスを見せてきてさ」 「画像? 何だよ、画像って」
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