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それに、これは、私の気のせいかもしれないけれど……。
最近、仕事が忙しいからなのか、夏目さんが居る時は、キッチリとスイッチを仕事モードに切り替えてでもいるかのように。
ピリピリしてて不機嫌そうだし、必要最低限のこと以外は、たいてい無口を決め込んでいて。
副社長に、話し掛けるのも躊躇してしまうほど、近寄りがたいオーラを纏っている。
だからだろうか、こうして二人きりになった途端に、甘い雰囲気を纏った副社長に優しくされてしまうと、こんな風に胸がキュンキュンとやかましくなってしまうのだ。
そんな私のことなんか知らずに、まるで追い打ちをかけるかのように、ほろ酔い気味の副社長の猛攻撃は威力を増していくのだった。
急な秘書室への異動の件も、副社長が勝手に決めたことじゃないと分かっていたものの。
こうやって、本人の口から聞くことができ、何より副社長が優しく気遣ってくれる言葉が聞けただけで、もう充分嬉しいというのに……。
「……あぁ、仕事だからな。
けど、仕事の合間に美菜の顔を見ることができて、俺は嬉しい。このままずっとこうやって美菜と一緒に居たいと思ってるくらいだ」
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