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ふかふかのベッドの上で、スマホを握りしめたまんまで、半身を起こして副社長を見上げていた私のことを、胸に抱き寄せながら、
そんな心にも無いことを簡単に言ってのけた副社長に、益々胸の高鳴りは増すばかりだ。
――もう、嘘でもなんでもいいから、このままこうやって副社長の言葉通り、この腕の中で居られたらどんなに幸せなことだろう。
そんな風に思ってしまう私は、泣いてしまわないように、必死に副社長の胸に顔をくっつけて、じっとしていることしかできない訳で。
それなのに、副社長はといえば、またまた懲りもせずに、
「美菜を早く俺だけのものにしたい」
なんて言葉までお見舞いしてくる始末。
とうとう私は堪えきれなくなってしまい、涙を零してしまったのだった。
まっかな嘘だとは分かってはいても、こうやって副社長の声を直に聞いてしまうと、やっぱり嬉しくなっちゃうんだもん。
でも、それと同じように、報われない自分のこの想いが不憫で、虚しくもなっちゃうから、こうして泣いちゃうんだけれど……。
何故か、副社長が急に私のことを胸から引き剥がしてしまったのは、ちょうどその瞬間だった。
瞬間、私は泣き顔を見られたくなくって、副社長の視線から逃れるために顔を横に向けて固定しているのがやっとで。
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