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私の声に反応した副社長が身動ぎする気配がして、同時に「……美菜?」驚いたような声が聞こえてきて。
でも、そんなことに構うことなく、副社長の広い背中にしがみついたままでいた。
「自分の名前なのに、辛い時があるなんて、そんな悲しいこと言わないでください。
私はこうやって副社長が居ないと眠ることもできないんです。ちゃんと誰かの『要』になってるじゃないですか。
会社だって、副社長が居ないとダメなんですから、自信持ってください。
せっかくお父さんが素敵な名前付けてくれたんですから。そうしないとお父さんが可哀想です。
それに、私は好きです。副社長にぴったりな素敵な名前じゃないですか」
そして気付いた時には、時すでに遅しで、副社長のことをよく知りもしないで、勝手なことばかり並びたててしまっていて。
副社長の広い背中にしがみついたままで、顔が見えないのをいいことに、散々知った風なことを言ってしまった私は、副社長が気を悪くしてるんじゃないかと、そればかり気になっていた。
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