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「……あっ、えっと、すみません。私、勝手なことばっかり言っちゃって。気に障ったらごめんなさい。悪気はなくて、その……」
なんとかして、副社長に一刻も早く弁明しなきゃと思って焦れば焦るほど、どう言えば伝わるかが分からなくなってきた。
声もさっきまでの勢いを失って、だんだんと尻すぼみになってフェードアウトしていく。
そんなアタフタとしてしまってる私の身体が急に浮き上がるような妙な感覚に襲われて。
気づけば、いつの間にやら仰向けの状態で横になっている副社長の身体の上で抱きしめられていた。
副社長の胸に顔を埋めるような体勢で抱きしめられている私の耳元からは、副社長の穏やかな優しい声音が低く響いてくる。
「気に障ってる訳がないだろう? 美菜のお陰で、長年コンプレックスでしかなかった名前が好きになれそうだ。……例え、気遣いであったとしても」
その耳に心地いい低音ボイスに弾かれるように顔を上げれば、優しい穏やかな微笑みを湛えている副社長の麗しい綺麗なお顔があって。
今まで目にした中で、ランキング一位になっちゃうんじゃないかってくらいの眩しい笑顔だったもんだから。
思わず見惚れてしまった私は、何も言うことさえもできないでいる。
そんな私に副社長からは、
「いつか、美菜にとっての要になりたい」
これまた破壊力半端ないお言葉をお見舞いされっちゃったもんだから堪ったもんじゃなかった。
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