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――どうして、副社長にあんな条件出しっちゃったんだろう?
あんな条件さえ出していなければ、副社長にあの手この手で、ここまで攻められることもなかったのに……。
このままじゃ、とてもじゃないけど身がもたないよ。
ただでさえ、副社長の見かけは王子様みたいに完璧なんだから……。
それなのに、立て続けに、あんなことされちゃったら、副社長のことをドンドン好きになってしまうじゃないか。
ドンドン好きになっちゃっても、この想いが報われることなんてないのに……。
「……はぁ」
昨夜、あんなことがあったせいで、睡眠不足状態の私の頭の中では、さっきからそのことばかりが堂々巡りしてしまってて、気づけば溜息ばかりを零してしまっていた。
一人になりたくて、お昼の休憩時間をオフィスの屋上のベンチに腰かけて過ごしていた私の耳には、不意にガチャリと入り口のドアが開く音がして。
膝の上に置いてあったサンドウィッチを何気なく口に運ぼうとしていた私は、
「お疲れ様」
と、久々に登場したあの人物によって声を掛けられたのだった。
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