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「あっ! そのパン人気があってなかなか手に入んないんですよね? いいな~、おいしそう!」
「朝、出勤の途中で開店してたから寄ってみたんだ。そしたら最後の一個でさぁ、ラッキーだった! 良かったら半分こしよっか?」
「えっ、いいんですか!?」
「モチロン。はい、どうぞ」
「やったー! いっただきまーすっ!」
半分こしてもらったパンをさっそく食べ始めた私のことを、優しく笑って見守ってくれている木村先輩。
暫くしても、持ってるパンを食べる気配がなく、変わらずジーッと食べてるとこを木村先輩に見つめられて、なんだか居心地が悪くて堪らなくなってきて、
「……どうかしました?」
訊ねてみれば……。
「……あっ、いや、ごめん。なんか、さっき美菜ちゃん見たとき、元気がないような気がしたからさぁ……。ちょっと気になっちゃっただけだから、気にしなくていいよ。休憩時間なくなっちゃうから、さっ、食べよっか?」
「……はい」
流石は、後輩想いの木村先輩。
何もかもを見透かされてしまいそうで、一瞬ドキリとさせられてしまったけれど、今は目の前の美味しいパンを頬張ることに気持ちを集中させることにした。
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