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「……美菜ちゃん、ごめん。確かにちょっとムキになっちゃったけどさぁ。
でも、美菜ちゃんて、男に対して全然警戒とかしないし、なんでも信じ切っちゃうとこあるから……。お兄さん的立場としては心配なんだよ」
私の言葉を聞いた夏目さんは、酷く傷ついたような表情をしていて、見ているこっちの方が辛くなってくる程で。
シュンとしながらも、なんとか私の機嫌を取ろうと、必死になって声を掛けてくれているんだけど……。
さっきの木村先輩のことを思うと、そんなに簡単に夏目さんのことを許す訳にもいかない訳で。
「そんな心配なんてしてもらわなくても、大丈夫ですから。木村先輩は、私のことを昔飼ってた猫に似てるって言ってたくらいなんで」
それでも、一応私を心配してくれてるってことは分かるから、少しは安心するだろうと、そう返したのに。
さっきまでシュンとしてた筈の表情を、たちまち険しい表情に豹変させた夏目さんは、
「まさか、それ、鵜呑みにした訳じゃないよね? そんなの美菜ちゃんが警戒しないように予防線張っただけだから……。そんな言葉信じちゃダメだよ。
それにさっき、どっかに一緒に行くようなこと言ってたけど。まさか、前みたいにお酒飲みに行くとかじゃないよね?」
私の肩を両手で掴むと、そんな空気の読めないことを言ってくる。
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