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少しして、なんとか泣かずに済んだ私は、木村先輩といい副社長といい、どうして分かったのかが気になってきて。
「どうしてそんなこと、分かったんですか?」
そんな私は、副社長の背中にしがみついた状態で疑問に思ったことをそのまま口にしてしまってて。
そうしたら、副社長は、何やら考えているようで……。
すぐには答えずに、勿体つけるように暫く溜めてから、
「……さぁ、どうしてだろうなぁ? 教えない。自分でよーく考えてみるんだな」
なーんて、答える気がないのか、なにやら楽しそうに意地悪なことを言ってくる。
それが面白くなくって、ムッとしてしまった私は、副社長に抗議するべく顔を上げて、
「あー、ズルいっ!」
副社長の顔を軽く睨みながらそう言えば。
「美菜が単純だから分かりやすいだけじゃないのか?」
子供のように拗ねてしまった私のことをからかうのが楽しいようで。
ハハッて声をたてて笑いながら、とっても楽しそうに、子供みたく無邪気な微笑みを浮かべている。
そんな副社長の無邪気な微笑みに視線どころか心までも奪われてしまい、見惚れてしまった私は、副社長の大きな手によって、顔をまた肩の上に強制的に戻されてしまい。
優しい副社長のお陰で、漸く元気を取り戻すことができた私は、不服に思いながらも、副社長のお言葉に甘えて素直に瞼を閉じたのだった。
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