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「はい。あれからすぐにチョコ貰いに行ったじゃないですか? それからは、普通でした。それより、私がすぐ動けなかったせいで、気を遣わせちゃって……。それなのに、嫌な思いさせちゃいましたね? 本当に、すみませんでした」
「ううん、俺は全然平気だから。夏目さんを余計に怒らしたの俺だしさぁ。そんなの気にしなくていいから。ほら、元気出してよ、ね?」
「……でも」
「あー、もう、そんな泣きそうな表情しなくていいからぁ。はいっ! もうこの話題はなしなしっ。じゃっ、気を取り直して行きますかぁ」
「はいっ!」
私のせいで、あんなに嫌な思いをさせてしまったというのに……。
後輩思いで、どこまでも優しい木村先輩は、逆に私のことを気遣ってくれたため、そんな木村先輩のご厚意を無下にもできず。
いつものように接してくれる木村先輩に感謝しつつ、それに倣って元気よく脚を進めたのだった。
***
オフィスを出てから五分ほど歩いたところに、木村先輩一押しの、ゆったりとしたオシャレな空間で、美味しい料理を堪能しながら、カラオケを楽しむことができるお店があった。
あらかじめ木村先輩がネットで予約してくれていたため、待たずにすんなりと個室に入ることができて。
現在、歌まで上手な木村先輩の歌声を聴きながら、美味しいデザートを味わっている。
充分にお腹も満たされて、今度は何を歌おうかなぁ……なんて呑気に考えてた私は、
歌い終わって正面のソファに座った木村先輩に、
「ねぇ、美菜ちゃん。ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
そう言って声を掛けられた。
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