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それでも、体調の悪い私のことを気遣ってくれる副社長の優しさが嬉しくて。
ボーッとしながらも麗しの副社長の方を見詰めていると……。
ベッドで横になっている私へと視線を向けた副社長の視線とが交わって。
その瞬間、とてつもなく優しい眼差しをお見舞いされちゃったような気がしてしまい。
――やっぱり、まだ熱があるせいなのかなぁ……。
なんてことを思いながら、点滴してくれている薬のせいなのか、眠くなってしまった私は、誘われるようにして眠りへとゆっくり落ちて行ったのだった。
だから、私は知らなかったのだ。
私が眠ってしまったその後で、副社長と光石さんがどんなやりとりをしていたかなんて……。
「最近、眠剤を処方してくれって言ってこないと思ってたけど……。今は、眠れてるんだろ? もしかして、この子のお陰か?」
「あぁ」
「そうかぁ。なら、良かった。顔の色艶もいいみたいだし。アレの調子もいいんだろ?」
「……いや。まだ、完全じゃない」
「えっ!? そうなのか? あっ、じゃぁ……そういう薬、処方してやろうか?」
「いや、遠慮しておく。副作用もあるようだし……。なるべくそういうのは使いたくない」
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