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勢いよく起き上ってから、そのことに気付くことになってしまったおバカな私。
そんなおバカな私のことを副社長は、可哀想な子を見るような目で見ていて。
少なくとも私にはそう見えてしまっただけで、本当は、副社長がどう思っているかなんて分からないのだけれど。
とにかく、副社長の機嫌を損ねないうちに早く謝って、仕事や夏目さんのことを早く聞かなければ、このまま眠ることなんてできそうにない。
「あっ、ごめん……なさい。でも、知りたいです。ちゃんと……教えてください」
だから、そう言っただけだったんだけど。
私の言葉を聞いた副社長は、やっぱり気分を害してしまったのか、酷く傷ついたような表情をしていて。
「いや、美菜は悪くない。俺の方こそ悪かった。ちゃんと話すから、横になって聞いてほしい」
それなのに、熱を出してしまってる私への気遣いからか、まるで自分の感情を押し殺すようにして、それでも優しく横になるよう促してくれている。
――どうしちゃったんだろう。いつもの副社長らしくない。
そうは思いながらも、どうしたらいいかも分からなくて、副社長に促されるままに横になることしかできない。
そんな私が素直に横になると、副社長はやっとホッとしたようなそんな表情に変わっていて。
どうやら、副社長は、病人である私のことを心配してくれていただけのようだ。
ーーそれでも、こうやって気遣ってもらえてるってだけで、こうも嬉しくなっちゃうんだから、困ったものだ。
さっきまで、あんなに気になってしょうがなかった筈の仕事や夏目さんのことも霞んじゃうくらいに。
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