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なんでもかんでも、静香さんに結びつけてしまってた私は、要さんの言葉を聞いた途端にホッとしてしまい。
「……はい」
「だから、『はい』じゃなくて『うん』でいいと言ってるだろう?」
「……ご、ごめんなさ……あっ、『ごめん』で、いいんでしたっけ? ……でも、それだと、どうしても方言が出ちゃうから恥ずかしいし。
社会人になってからは、まだ新入社員だから目上の人と話すことが多いし、敬語の方がなにかと話しやすくて……。
それに要さんは副社長だし、私は研修中だとはいえ秘書なので、どうしても敬語になっちゃうんです。別に、要さんに遠慮とかしてる訳じゃありません」
「なんだそうだったのか。もういい、分かった。どうやら俺の思い過ごしだったようだ。
……そうだよなぁ、美菜にそんな他意がある訳ないよなぁ。鵜呑みにして不安になってた俺がバカだった。
やっぱり無理強いはしたくないから、おいおいでいい。その方が美菜らしいし」
「……あぁ、はい。そうさせてもらいます」
「それに、いつも敬語の美菜が、俺に抱かれてる時にだけ、『速く触って欲しい』とか、『いや』、『もうダメ』とか、『速く要さんが欲しい』なんて恥じらいながら言ってきて、よがる姿も結構いいもんだしなぁ」
「////」
いつものように、要さんの腕の中であーだこーだ言い合いながら話していると……。
会話の途中で、要さんが何やら独りごちるように呟いた言葉の意味がよく分からなくて、少し引っ掛かったものの。
お決まりのように、要さんに真っ赤にさせられてしまった私には、当然そんなことを考えるような余裕なんてなかったため、
「そんなに真っ赤になって、俺を煽ってるのか? 暗いがくっついてるから分かるんだぞ」
「////」
「ハハ、冗談だ。体調が悪い美菜を襲ったりしないから安心しろ……てか、もうこんな時間か。美菜と話してると楽しくて、ついついこんな風に時間を忘れるんだよなぁ……。こーら、いつまで真っ赤になってるんだ? そろそろ寝るぞ」
「……はい。おやすみなさい」
「あぁ、おやすみ」
要さんのお陰で、さっきまでの不安なんてすっかり忘れて。
いつものように、暖かで安心する要さんの腕の中で、私はようやく眠りにつくことができたのだった。
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