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それは、高梨さんと共に社員食堂での昼食を終えて、秘書室のある最上階のトイレに立ち寄った時のことだった。
私と高梨さんが個室に入ってすぐ、数人の聞き慣れた女性の話し声と足音が聞こえてきて。
洗面台が設置されてる場所の辺りから水を出す音に続いて、カチャカチャとメイク道具を取り出すような音が響き始めた。
聞こえてくる声からして、どうやら秘書室の三、四人ほどの先輩方が身だしなみを整えるためにいらっしゃったらしい。
――速く終わらせてくれないかなぁ?
なんとなく、出ていきづらさを感じた私が心の中で独りごちていた時、
「ねぇ、ちょっと。あの噂ってどうなってるの?」
「あぁ、副社長と綾瀬さんのこと?」
なんの前触れもなく、唐突に、そんな言葉が耳に流れ込んできてしまい。
あまりの衝撃に、私の頭はもののみごとに、一瞬にして真っ白になってしまった。
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