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そうして、ない頭であれこれ考えているうち、何もかもが信じられなくなってきて。
……要さんは本当に私のことを好きになってくれてるのかなぁ?
なんてことまで疑ってしまう始末。
疑心暗鬼に陥ってしまってる私は、そこまで考えが至っては……。
違う違う、そんな筈はない。
でも要さんは、私にずっと嘘をついていたじゃないか。
もしかしたら、嘘をついた訳じゃなくて、私に言えなかっただけかもしれない。
じゃあ、要さん本人に聞いてみればいいじゃないか。
――……。
いくら心の中で自問自答を繰り返してみても、決まって、ここで言葉に詰まってしまう。
だって、そんなこと、怖くてとてもじゃないけど聞ける訳がない。
ただでさえ、静香さんのことで不安で不安で堪らないというのに……。
午後からずっと、自席のパソコンの画面とにらめっこしながら、次から次に浮かんでくる邪念と格闘しつつ、会議で使う資料等を纏めていた最中。
隣で同じようにパソコン画面に集中していた夏目さんから、
「綾瀬、そろそろ副社長にコーヒーとチョコをお出しする時間じゃないのか?」
そう声をかけられて初めて、そのことをすっかり忘れていたことに気づいた私が慌てて、
「あっ、はいっ。すみません。資料を纏めるのに夢中で。今すぐ準備に取りかかります」
処理中のデータを保存して、給湯室に向かおうとしたところ。
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