深まる疑惑

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「知らなかったとはいえ、そんなときにお邪魔しちゃってすみません。私はこれにて失礼させて頂きますので」 そして、静香さんも、たまたま偶然、隼さんに会って、これまた偶然、今日という日に、タイミングよく居合わせただけのようだった。 「あら……そんな。わざわざ挨拶にみえたのに、追い返すようなことはできないわぁ。ねぇ? あなた。要も美菜さんもいいわよね?」 「追い返すなんてとんでもない。いいよなぁ? 要、美菜さん」 「……あっ、あぁ……」 「……わ、私も、全然大丈夫です」 「主役である二人もこう言ってることだし。それに静香さんは、小さい頃から要の面倒をよく見てくれていたお姉さんのような存在ですもの。さぁ、静香さん、こちらへどうぞお座りになって?」 「そうよ。隼にちゃんと伝えていなかったこちらが悪かったんですもの。静香さん、気になさらないで」 「さぁさぁ、遠慮せずお座りなさい」 「それじゃぁ、お言葉に甘えて、失礼します」 この前、譲さんからも聞かされていたように、要さんの小学生の頃からの、家族ぐるみの付き合いがあったらしい静香さん。 なんの違和感もなく、神宮寺家の宴会に加わることになったようだった。 それに、麗子さんたちの話を聞いている限りでは、要さんと静香さんが付き合っていたことまではご存知ないご様子の皆様。 さりげなく、虎太郎さんの隣に腰を落ち着けている要さんへと視線を向けてみると……。 そこには、さっきまでの陽気さは微塵も見受けられず、若干ひきつった表情をしているように見える要さんの姿があった。
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