深まる疑惑

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それからというもの……。 二人のことが、気になって気になってしょうがない私は、雅さんと麗子さん、隼さんに囲まれながら、心ここにあらずって感じで、気のない返事ばかりを繰り返していた。 そんなとき、 「あらあら、あなた、そんなところで寝たらいけないわぁ」 私の隣に居る雅さんからそんな声がして。 座卓の上で、両腕を組んでそこに顔を埋めて寝入ってしまった虎太郎の元に、慌てて駆け寄った雅さん。 「あなた、寝室に行きましょうねぇ? 隼、静香さんが戻るまで美菜さんのお相手してさしあげてね?」 「はい。心得ていますのでご安心ください」 「隼が居てくれて助かったわぁ。美菜さん、少し失礼しますね?」 「……はい」 「麗子、手伝ってちょうだい」 「はい、はい、分かりました~」 「麗子、”はい”は二度言うもんじゃないわ。それに、語尾を伸ばすとだらしなく聞こえるからおやめなさい。いい歳してみっともない。少しは隼を見習いなさい」 「ま~たお母さんの隼贔屓(びいき)が始まったわ~。でも、あの子外面と口調は好青年だけど、中身はきっと鬼畜よ~」 「……可笑しなこと言ってないで、早く手伝いなさいっ」 「はーい」 雅さんは麗子さんと一緒に、なんやかんや言い合いながらも、酔い潰れた虎太郎さんを仲良く支えながら、寝室に行ってしまったため。 だだっ広い広間には、私と隼さんの二人だけが取り残されてしまった。 さっきまであんなに賑やかだった空間は、シーンと、まるで水でも打ったかのように静まり返ってしまっている。 そんななか、なんだか居心地悪さに襲われた私が、手持ちぶさたに、ウーロン茶の入ったグラスに口をつけようとしていると、 「藤木先輩にお聞きした通り、美菜さんは本当に素直で、とても可愛らしい女性のようですが……。誰にでも簡単にコロッと騙されそうですねぇ」 「……」 座卓を挟んだ正面で胡座をかいて、上品な所作で、グラスのウーロン茶を傾け喉を潤した隼さんに、唐突に声をかけられてしまった。
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