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そこへ、私の首筋に顔を埋めて荒い呼吸を繰り返していた要さんが、唇を耳元まで寄せてきて、まだ整い切らない荒い呼吸のままでしゃべり始めた。
「……『どうして邪魔するんですか?』って、そんなのイキそうになったからに決まってるだろう? 可愛い美菜に、『気持ちよくしてあげたい』なんて、上目遣いの可愛い顔で見つめられながら可愛いこと言われて。それだけでもヤバいというのに……。
さっきみたいに健気に頑張ってご奉仕なんてされたら、気持ちよくなりすぎて、すぐにイキそうになるのは当然だ。けど、俺はどうせイクなら美菜のナカがいいから止めただけだ」
――なんだ、そうだったんだ。ちゃんと気持ちよくなってくれてたんだ。良かった。
私のことを要さんが何度も『可愛い』というその根拠はよく分からないし、男の人がこういう時に口にする常套句だとしても、大好きな人から『可愛い』なんて言ってもらえたらやっぱり嬉しい。
『イクなら美菜のナカがいい』なんて言ってもらえたのも嬉しい。
ついさっきまであんなにシュンとなってしまってたクセに、要さんの言葉ひとつでこんなにも変われるもんなんだな、とゲンキンすぎる自分に感心しているところへ、またまた要さんの声が聞こえてきた。
「こんな風に美菜に寄りかからなきゃならないくらい、俺から余裕を奪って追い込んでおいて。それをどう解釈したら、『気持ちよくなかった』になったかは知らないが……。まぁ、いい。俺の可愛い婚約者である美菜がこんなに元気にしてくれたんだもんなぁ」
何やら意地悪気な口調でそう言ってきた要さんの口調が、途中で悪巧みでも思いついたような、そんな物言いに変わってしまった。
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