それぞれの未来へ

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驚きすぎた私は、暫くの間、お腹を抱えて笑っていた夏目さんと、小競り合いを始めてしまった要さんと香澄先生とを、忙しなく交互に見つめたままでいた。 ようやく夏目さんの笑いがおさまりかけた頃には、要さんと香澄先生も小競り合いをやめて静かになった。 けれど、互いに相いれないというように、背中を向けてしまっていて。 そんなふたりを前に、夏目さんもやれやれって感じで、両手を上げて、お手上げのポーズを決めると、ふうと大息をついている。 要さんと香澄先生がどうしてこんなことになっているのか、事情を訊いてみたところ。 譲さん夫婦の仲裁をしていた要さんは、庭を散策しにいった私のことが気にかかり、夏目さんに託したものの、当然香澄先生も一緒に行くと思っていたのが、香澄さんは姉の小百合さんに捕まってしまったものだから、相変わらず心配性の要さんは心配でしょうがなかったらしい。 幸い、譲さん夫婦の仲直りも意外と早かったらしく、まだ戻ってこない私と夏目さんにやきもきしていた要さんの姿に見かねた香澄先生が、ちょっと様子を見に行こうと誘ったのが始まりだったらしいのだが……。 立派な松の木までたどり着いたはいいが、私たちの声がよく聞こえなくて。 そのうち、私が泣き出して、慌てた夏目さんが私の顔を覗きこんだのが、ふたりが寄り添い合うように見えてしまったようで。 もう居てもたっても居られなくなった要さんが出て行こうとするのを、夏目さんのことを疑っていると思われたくなくて、見つかるのを恐れた香澄先生が引き止めたりしているうち、小競り合いが始まってしまったらしかった。
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