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夏目さんから聞いた光景を思い浮かべた私の目は、すっかりハートマークになってしまっていた。
「けど、な~んか、嘘くさいんだよなぁ? 三上主任とかは、もうはしゃいじゃって、『高梨さんでも頬を赤らめることもあるのねぇ? 可愛い』なんて言ってたけど。俺には、どうみても怒ってるような感じにしか見えなかったんだよなぁ」
「隼のことだし、ひょっとして、見合いさせられるのが嫌で、そういう芝居をしてるだけかもしれないしなぁ」
それなのに、夏目さんも要さんも、さっきからずっと隼さんのことを疑ってばかりいる。
いくらお見合いが嫌だからって、そんなことしないと思うんだけど。
ーーあ、でも、私に強引に契約を迫ってきた要さんの弟だから、あり得るのかなぁ?
……いやいやいや、いくらなんでもそんなことないよね?
「そんな。最初っから疑っちゃったら、隼さんが可哀想ですよう? 確かにビックリですけど、そんな王子様みたいなことされちゃったら、誰だって照れちゃうと思いますけどねぇ? それに、隼さんって、そういうことできちゃいそうですもんねぇ? 王子様みたいな甘いマスクだし。わぁ、なんか素敵だなぁ」
「美菜は、あーいうなよっとした顔の方が好みなのか? やけに、隼の肩を持つし、美菜は俺よりも隼の方がいいっていうのか?」
危うく二人の意見に流されそうになったのを、私だけでも隼さんのことを信じてあげようと、思いとどまることができたけど。
お陰で、心配性の要さんには、あらぬ疑いの目まで向けられてしまうことになった。
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