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「ーーええ!? なんでそうなっちゃうんですか? そんなこと絶対にありません……あっ、今、お腹ボコッと蹴りました」
「そうなのか? どこだ? ここか?」
「ここです。きっと、要さんが変なこと言うから、この子も怒ってるんですよ」
要さんにあらぬ疑いをかけられてしまい。
慌てて反論を繰り出した私にまるで助け舟を出した様な絶妙なタイミングで、胎動を感じ。
私が渡りに船とばかりに、隣の要さんの手を取りお腹に誘導しながらホッとしたのも束の間。
私の指示通りに、お腹をそうっと包み込むようにして手を当ててきた要さんが胎動を探りつつ、謝ってきてすぐに、
「それは悪かった。なら、お詫びに、今夜は王子様と姫という設定でたっぷりと可愛がってやる」
「////……な、なんでそうなっちゃうんですか?」
予想外な意地の悪い言葉を返されてしまい、再びのピンチ到来となった。
「なんでって、そういうのが好みなんだろう?」
「////……嫌いじゃないですけど」
と言っても、久々に王子様仕様の要さんにお目にかかりたくなってしまったので、コロッと誘惑に負けちゃったんだけれど。
そこに、隼さんのお陰で、王子様仕様の要さんにお目にかかれるのが嬉しくて、すっかり存在を忘れてしまっていた、正面のソファに座っている夏目さんの声が割り込んできて。
「ハハッ、美菜ちゃん、真っ赤になりながらもすっかり要に感化されちゃって。仲いいのはいいけど、そういうの、俺が帰ってからにしてくんない? ……あっ、その前に、ちょっと美菜ちゃんに聞きたいことがあるんだけどさぁ」
またいつものように面白おかしくからかわれるだろうと思っていたのに……。
ちょっと意地悪な言い方はされたものの、すぐに、何やら思案顔の夏目さんに、思いがけない言葉を振られて。
赤ら顔の私は、きっと放ったマヌケな声同様の可笑しな顔をしていたに違いない。
「////……へ!? あぁ、はい」
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