13967人が本棚に入れています
本棚に追加
/703ページ
……車では、私の味方になってくれるって言ってくれてたのにぃ……。
恨めがましく夏目さんの背中を見送りつつ、
……いや、だからなのかなぁ? とか思ったり。
何はともあれ、
『もうきっと副社長には、どうあがいてみても、私なんかが太刀打ちなんかできない』
そう思い知ることとなった。
私が近づけば近づくほど、副社長は遠くに行っちゃうのに……
それでもいいから傍に居たいなんて思っちゃうんだから、ほんと質が悪い――。
私がぼんやりとそんなことを考えていたら、何故かいつのまにか、回れ右して、直ぐ傍まで戻ってきていた副社長。
「美菜も一緒に入るか?」
「////」
当然、私の返事なんか聞かずに、軽々と私の身体を抱き上げると、ヒョイッとあっけなくお姫様抱っこにしてしまった傍若無人な王子様。
鼻歌でも歌っちゃうんじゃないかと思う程に、頗るご機嫌のいい傍若無人な王子様は、嫌味なほど長い脚を活用した速足で、バスルーム目掛けてスタスタと歩き出してしまわれた。
奇しくも明日は、土曜日でお休みだ。
どうやらこれから、泡に塗れながら、たっぷりと時間をかけて、鎖で繋いだ私のことを可愛がってくださるらしい。
これから繰り広げられるであろう、めくるめくひとときに、あらぬ妄想を思い浮かべてしまった私は、傍若無人な王子様の腕の中で、真っ赤になって身悶えていたのだった。
最初のコメントを投稿しよう!