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寝耳に水だったとはいえ、もう決まってしまったというのだから、仕方がない。
新入社員である私には、当然、嫌だとか言って駄々をこねるようなことも、異議申し立てなんてこともできる筈もなく……。
早々に諦めることにした私は、それでもシュンとしながら、私物の整理を済ませて、鉛のように重い重い脚取りで、十階の秘書室まで向かったのだった。
初めて脚を踏み入れた秘書室では、秘書室長である三上麻子さんが出迎えてくれた。
三上室長は、見た感じ、三十代前半位のとっても優しそうな大人の女性だった。
まさか、お子さんが二人もいらっしゃるなんて見えないほど、若くて綺麗な四十五歳の美魔女さんで。
さっき、こっそりと年齢を教えてもらった時に受けた衝撃は、物凄かった。
お子さんがいるせいか、明るくて優しい柔らかな雰囲気を纏っているからだろうか……。
初対面な筈なのに、話しやすくて、時折悪戯っぽい柔和な笑みを向けてくれるから、さっきまでの緊張感が嘘のように、ガチガチだった肩の力まで抜けてきた。
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