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平等な不平等
人間の人生において、活動時間には容量があるのだとどこかの学者が言った。
科学的根拠を踏まえた上での主張だった。
その数値はすべての人間に平等で、誰一人として特別な人間はいなかった。
人間が人生という荒れた道を進むにおいて、許された活動可能時間は46万7千2百時間。1日あたり8時間の睡眠を取る人間の場合、年齢にして80年生きることができる。
そんな話が私の耳に届いたのは37歳の冬。大晦日の朝のニュース番組がツールだった。
「そんな馬鹿な話があってたまるか」
読み上げられた言の葉を垂れ流すテレビに向かい、苛立ちを込めて少しだけ毒づいてみるが私の気持ちが晴れることは無い。
私の心を蝕む苛立ちにはこれといった明確な理由などは存在していない。強いて言うなればただの‘寝不足’だ。
耐えられない程でもない苛立ちという感情はいつから私の心に住み着くようになったのだろうか。
思い出すことができるのは、気づいたときには既に私の心を蝕んでいたと言うこと程度だ。
私は昔から勉強に勤しむ毎日を送っていた。
遊ぶことなく全ての時間を勉学へと費やし、視力を削り、精神力を削り、文字通り命を削って私は今に至る。
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