平等な不平等

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 私は彼女に認めてほしかった。頑張っているということを単純に褒めてほしかった。  私という人間をしっかりと認識してほしかった。   だからこそ勉強を頑張ったのだ。  彼女が頑張っている物と同じ物事を頑張ることで、彼女に評価をしてほしかったのだ。  自分を見てほしかったのだ。  でも、結局は彼女に一度も認められることの無いまま、私は彼女と異なる高校へと進学してしまった。  そのあとも、彼女と同じ土俵に立ちながらも、彼女と再び相見えることの無いまま現在へと至ってしまった。  初恋の人に認めてもらいたかっただけの私は、認めてもらう事が無い故に自身の頑張りに歯止めを利かす事ができなくなってしまった。  何せ、目的を達成してもいないのに取り組みをやめる必要は無いのだから? 「キィ…キィ…」と、錆びた連結部分が一定のテンポで呻き声をあげる電車に揺られ、私は地元へと向かった。  都市部から郊外の側へ近づくに連れ、立ち並ぶ建物はビル群から住宅街へと変わってゆき、建物は数を減らしていった。  仕舞いには駅の周辺に建物らしい建物などほとんど見当たらないほどになり、地元の駅にたどり着く頃には駅の待合以外の建物など周囲には無くなってしまっていた。     
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