平等な不平等

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「あーびっくりした。帰ってくるなら前もって連絡ぐらいしてよね。もう5年は帰ってきてないんだから。誰もいなかったらどうするつもりだったの?」  さほど驚いた様子は見せず、母は矢継ぎ早に言葉を放ってきた。  理由も無く自分と距離を置いた私に対し、特に機嫌を悪くすることも憤慨することも無く、「寒いだろう?中はヒーター焚いてあるから早く入りぃな」と言って母は私に屋内に入るよう催促した。 「どうして急に帰って来ようなんて思ったの?」  そう私に問いかけながら、母は急須に茶葉と湯を入れて持ってきた。  私はコタツに入りながら、母の持ってきた温かいお茶を湯のみへと注いで冷ましながらすすった。 「別に」 「そんなわけ無いでしょ。どうせ時間が残り少ないとかそんな話でしょ」 「まぁね」  昔からよく様々な人が言っていたが、やはり母には敵わない。  なんだかんだで子供のことを本人以上に理解しているのだ。 「どのくらい時間が残ってるの?」 「あと2ヶ月も無いくらいかな」 「思ったより残ってるじゃないの」 「……怒らないんだな」 「何を怒る必要があるの?」  母は不思議そうに首をかしげる。     
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