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昭和という時代が終わりを迎える頃の話。
ある中学校の夜警のアルバイトの大学生が、見回りを終えて宿直室に戻ってきた。
室内にある黒電話で、午後9時の定時連絡を教頭にすると、もう朝までやることがない。
目の前にはかけ放題の黒電話がある。もちろん、緊急時以外使用禁止。
でも、大学生は最近できたカノジョの声が無性に聞きたくて、誘惑に負けてしまった。
受話器を取り、耳に当てると、ツーという音の代わりに、男女のくぐもったような会話が聞こえてきた。
息を殺して話を聞いていると、その内容からどうやら二人は恋人同士らしい。が、そんなことより、大学生は背筋が寒くなった。
この黒電話は職員室の電話と親子電話になっているのだ。つまり、職員室に誰かいることになる。
もちろん、職員室はさっき見たばかりで、無人なのは確認済み。
大学生は静かに受話器を電話のそばに置くと、懐中電灯を持って同じ階にある職員室を目指した。
ドアの前に来たが、物音一つしない。
ゆっくりとドアを開けて、照明を点けた。が、誰もいなかった。
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