僕と彼女では恋にならない

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 ひんやりとした冬の朝はとても寒く、僕は両手をポケットに突っ込みながら待ち合わせの場所に向かっていた。通り過ぎていく人々の吐く息は白く、ホット飲料やカイロ、暖かい食べ物で暖をとっているのを見かける。  あぁほら、あそこにも一人……。 「って、なに食べてるの」 「…………ふぉふぁふぉー」 「食べるか、喋るかどちらかにして」  待ち合わせていた人物……彼女が大きなホットドッグを食べながらそこに立っていた。大人しくしていればかわいいのに、その唇には赤いケチャップがついている。 「おはよー。今日、さむいねー」  ごくりと口の中のものを飲み込んで彼女は空を見上げた。どんよりと曇った空で、雪が降りそうだ。 「おはよう。ほんと寒いよね。マフラー持ってくればよかったよ」 「えっ、なんでマフラー持ってこないの!? 寒そうでみてられないよー……あっ、このホットドッグ美味しいしあったかいよ…………食べる?」  差し出されたホットドッグと彼女の顔を交互にみる。少し逡巡してから僕は首を横に振った。 「うーん、いらないかな。出る前にご飯食べてきちゃったし……」 「んー、そっか! 美味しいのに残念」  テキトーにそれらしい理由を述べて食べることを断る。だって彼女だ。彼女が美味しそうに食べるソレがどんなものかわかったもんじゃない。
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