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ただでさえ狭いユニットバスだ。
その中に男二人は、とにかく窮屈だ。
でも、せっかくのご指名だから、もちろんそんなことに構っていられない。
楓貴はあちこちに肘をぶつけたりしながら、市敬の身体をせっせと洗う。
恥じらうなんて単語は市敬の辞書には載ってないのだろう、彼の眼前にその小柄な身体を全部晒して、されるがまま洗われているそのひとは、時折くすぐったいのか、ピクリと身体を震わせたりしている。
「イチ、ここも洗っていい?」
まだ何の兆しもない胸元に泡を滑らせて、楓貴は囁いた。
「くすぐってえ」
腕の中、文句を言いつつも拒まない市敬の眉間の皺が少し深くなる。
「でも、後でいっぱい舐めるから、よく洗わないと」
指先で引っ掻くようにすると、少しぷくりと浮き上がってきた。
「お前、その、オヤジみてぇな言葉責め、女から評判悪くねぇの?」
楓貴の指先の悪戯な動きに、少しずつ息を乱しながら、市敬は自力で立っているのが怪しくなってきたのか、彼のほうに体重をかけてくる。
楓貴は、その身体をくるりとひっくり返して、バスタブのへりに腰かけた自分の膝の上に座らせて後ろから抱き締めるような格好に体勢を変えた。
「イチにしか言わないよ、こんなこと」
尖ってきたその突起を指先で捏ねながら、耳許に囁く。
「イチ以外なんて、ただの性欲処理だったし」
膝の上の身体がひくんと跳ねた。
泡を纏わせたもう片方の手が、腹を撫で下ろして更にその下に向かったからだ。
「でも、イチは言葉責め、結構スキじゃん?」
ここ、泡つける前からヌルヌルしてる。
「だから、イチには言うんだよ?」
だから、もっと感じて?
言葉でも、身体でも。
身体全部で、頭の中までも、俺を感じて、俺だけで埋め尽くして?
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